支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡

  • TOP
  •   
  • コラム
  •   
  • 仮想マシンとは?仮想化技術が支える現

「仮想マシン」とは何か?

一言で説明するならば、「仮想マシン」というのは「物理的に別個ではないが、アプリケーションやソフトウェアを使って事実上分割された複数の機能を扱えるようにした一つのマシン」ということになります。

しかしこれではあまりにも抽象的ですしわかりにくいという方もいるでしょう。

「物理的に別個ではない」とはどういうことでしょうか?通常は機能が異なるマシン(PCなど)は一台一台が独立しています。「メールサーバー」や「Webサーバー」などがそれぞれ独立した個別のサーバーであることを思い浮かべていただければわかりやすいかもしれません。

「アプリケーションやソフトウェアを使って事実上分割された複数の機能を扱えるようにした」とはどういうことでしょうか?これは「一台のPCやサーバーの内部に独立した機能を持つアプリケーションやソフトウェアをインストールし、それぞれの機能を内部で実現させた状態のことを言います。

つまり「一台の独立したPCやサーバーの中に複数のアプリケーションやソフトウェアなどがインストールされていて、それぞれの機能が一台の独立したPCやサーバーの中で動作している。あたかも複数のPCやサーバーが機能しているかのように動作している状態」が仮想マシンの動作状態です。

「仮想マシン」普及の理由とは?

近年では多くのIT現場で活用されている仮想マシン、仮想サーバーですが、そもそもなぜこのような運用方法が普及してきたのでしょうか?

その理由として代表的なのは「ハードウェアリソースの効率化」や「運用工数の省略・軽減」さらに「ファイルやデータ・リソース運用の簡素化」が挙げられるでしょう。

ハードの効率化とは?

「サーバールーム」と聞いて思い浮かぶ光景はどんなものでしょうか?恐らく大多数の方が思い浮かべるのは「何十台ものサーバーマシンがひしめき合って並べられている部屋」ではないかと思います。主にサーバー用途で使用されるワークステーションと呼ばれるような高スペックのPCは電力消費が激しく、また安定性確保のために様々な仕組みが組み込まれているため放熱が一般的なPCよりも高めです。そのためサーバールームには専用の空調設備も必要になります。

このように「複数のサーバーを運用するサーバールーム」を保有するということは、それだけで膨大な「設備費用」を負担することに直結します。そのため企業や個人も含めて「サーバーの運用形態」には長年頭を悩ませる人々は多かったのです。「サーバーは必要」でも「設備は増やしたくない」というジレンマが「一つのサーバーで複数の機能を担えないか」という願いを生むことになり、それがハードウェア数の簡略化・効率化という考え方に繋がっていったのです。

運用工数の省略・軽減とは?

ハードウェアの保有数を削減・効率化することで生まれる効果は、サーバーを始めとするハードウェア運用の難易度や猥雑さが軽減されることを意味します。サーバー機器は扱いに慎重さが要求されることが多く、専門知識を持ったサーバー・エンジニアの確保も必要です。ハードウェアを揃えるための物理的なコストと並んで、サーバー・エンジニアを確保し継続して雇用するための人的なコストもかかってきます。

サーバー用のハードウェアを一台にまとめることができ、その一台に複数の機能をもたせて運用することができれば、理論上はハードウェアにかかる物理的なコストは相当数削減され、なおかつサーバー・エンジニアの雇用人数は変わらなくても一人あたりの業務量が効率化されることで他の業務へ割り振ることもできます。

データ・リソース運用の簡素化とは?

データ・リソースの運用とは、例えば「サーバーの設定ファイル」や「各格納データ用の実行ファイル」などをどのように扱い運用するかといったことです。複数のサーバーを保有・運用するとなれば、それぞれのサーバーが担う機能ごとに設定内容が異なることもありえます。また、各サーバーの中に保存されたファイルの管理や整理などもサーバーごとに異なるものです。

ハードウェアそのものが複数存在するということは上記のデータ管理を行う上で、その都度異なるハードウェアにアクセスし、設定を行ったりファイルの実行を個別に行う必要があります。業務や事業で使用されているサーバーの中で、複数のファイルを同時に操作することは人為的なミスにつながる可能性もありますのであまり好ましい状況とは言えません。重要な作業は可能な限りシンプルに、少ない工数で行えることが理想的です。ハードウェアが一台にまとまり、ファイルや設定などの操作を一箇所で行えるように簡素化されるのはそれだけで大きな意味があります。

代表的な「仮想マシン」を使ったサービス

仮想マシンを実現するための仮想化技術を活用した代表的なサービスとして挙げられるのがGmailやGoogle Drive、Microsoft OneDriveやDropboxなどのクラウドサービス全般です。

クラウドサービスは、例えばメールサーバーやファイルサーバーといった機能そのものを仮想化、仮想マシンとしてサーバー内に設定し、ユーザーはクラウドサーバーを通して仮想マシンにアクセスしサービスを利用するという形を取っています。仮想マシンであれば物理サーバーの調達にかかる時間を度外視してサービスを展開することが可能になりますし、このようなスピード感のあるアプリケーションやソフトウェアの利用方法を現代のユーザーは求めているのです。

重要なのは「仮想マシン」=「クラウドサービス」ではない、ということです。クラウドサービスはあくまでも「仮想マシン」を実現するための「仮想化技術」を活用したサービスで、あくまでもサービスの一つです。対して仮想化技術はそのものズバリの「技術」であって、この技術が「仮想マシン」の存在を実現させているのです。

まとめ

仮想マシンとその実現を支える仮想化技術。そして仮想マシンによって実現されている代表的なサービスについて紹介してきました。現代のWebサービスでは様々な仮想化技術が使われており、各種サーバーなどは仮想マシンとして運用されていることが増えています。物理サーバーの拡張ニーズはもちろんなくなりませんが、半導体などに代表されるハードウェアの供給問題などに対処するための技術としても仮想化技術は今後も進歩するでしょう。それに伴う仮想マシンの需要は今後も増加していくと考えられています。これを機会に仮想化技術と仮想マシンについて、さらに知識を深めてみるのも良いのではないでしょうか?